As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「…ホラみろ~!焼きそばパン売り切れじゃん。」
「…えっ。私のせいにしないでよ。さっさと来れば良かったじゃん。」
中道はぶつくさ言いながら……、
コロッケパンを購入する。
「中道、今日弁当ないんだ?てか、最近パンばっかりだね。」
「……ん…?まあな。」
「……?」
何だろう……。
珍しく、歯切れが悪い。
「…いっつもおばあちゃんが作ってくれてたの?」
「……うん。」
「………ねえ、お弁当のおかずで…、何が一番すき?」
「フキの煮物。」
「……へぇ…、意外。」
「ばーちゃん煮物得意だから。一味かけると更に旨いよ。」
「……。ふぅ~ん。煮物かあ……。」
「………。柚、作れるの?」
「筑前煮とか、ひじき煮とかだったら。フキかぁ…。今度作ってみよ。」
「………。」
中道は……
私をじっと見つめる。
「……ねえ、それって俺の為?」
「…………!い…、いや。弁当のおかずってマンネリ化しやすいから…。新しいレパートリーでも増やそうかなって。」
「えー。俺に味見させてくんないの?」
「それは……、別にいいけど……」
「やった、楽しみ♪」
ふ~ん…、
こんな小さなことでも…
喜んでくれるんだ…。
「むしろ、俺の分も作ってくれて全然構わないけど。」
「……ええっ!急にハードルあげないでよ。」
「……無理にとは言わないけどさ。」
「…………。」
……何で……?
だって、おばあちゃんのお弁当は?
作ってくれるんじゃないの?
「…今、上原が考えてること当ててやろーか。ばあちゃんの作る弁当があるだろって言いたいんだよな?」
「……う、ハイ、そうです。」
「……負担かけたくねーんだ。」
「…………。」
「………野球を始めてから、ユニフォームの洗濯に、食事の栄養バランスを考えてくれたり……。親がこなすことを、全部一手に担ってくれた。朝早くても、文句の一つ言わないし……、野球部の親がする仕事だって、してるし。水当番とか応援だとか……。結構、負担かけてる。」