As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「……平日の朝くらい、楽させたいってこと。」




「……そう…なんだ。」





そっか……。



中道には……お母さんはいない。



お父さんだって離れて暮らしていて……。




頼れる人は、おばあちゃんだけ。








「……だから最近…お弁当持って来ないんだ?」



「……まあな?」




「……そっか。まあ…、二人分も三人分も大して変わらないから……、いいよ、作っても。」




「……マジ?」



奴の瞳が……



キラキラと輝く。







「上原の弁当、旨いもんな。」




「……やだなあ、急に誉めないでよ。」




「イヤイヤ、いい嫁になるよ。」





………。



嫁……?



……って、『誰』の?





中道は自分の言った言葉のアヤに……



今更ながら、慌てている。






「嫁か……。嫁なあ……。」



「…………。」




「…ま。そのうち……だな。」




そのうちって……。




「…あ~、やめやめっこの話!早く戻って昼食おうぜ。」







すごい照れ隠し……。





でも……、今言ったよね。



『そのうち』って。





やば……、




すっごいうれしー……。






「ホラ。さっさと行くぞ?」




いつまでも夢見心地の私に呆れたような溜め息をはいて。




奴は私を引きずるようにして……





ずんずんと、廊下を歩いた。







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