As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
何とも単純な私は、



自分と、結と、そして……


中道の、3人分。




お弁当を……完成させた。







「…………。」



その中身を見て。



……無言の結。







そりゃそうか。


そうでしょうとも。





いつもの弁当とは……



ちょっと違う。





完全なる和テイスト。






そうです、


さすがに初めて作るから……







中道好みを狙ってます。








「…………。」



早く起きすぎてしまった。







そわそわと……




どうにも落ち着かない。










「……あったあった、帽子~!」




間がもたない私に、タイミング良く…結が駆け寄ってきた。





「……はい、こっちが柚だね。」




みみあて付きの…
毛糸の帽子。





「…今日から被らなきゃ。」




「……もち。」






お揃いは……、




やっぱりテンションが上がる。





双子の……



特権。









「……あ。柚…そういえばさ…」
「……あ!箸入れるの忘れた。……てか、中道の分はないかぁ…。」




「…………。買えば?夫婦箸♪」





「……や、やだなあ、結とお揃いがいいに決まってんじゃん!」



「またまた~!照れんなっ。」




「も~……、うるさいなぁ。結の分もう作らないよ?」



「……あはは、いいよ、もう。」




「………?」




「…私もそろそろ自立しなくちゃね、脱・柚ちゃん!」




「……結……?」



「……なーんて、ネ。」




結はそう言って笑ったけれど……。




その笑顔に、どことなく違和感を感じてしまったのは……




私の…気のせいだろうか。




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