Ａｓ Ｔｉｍｅ Ｇｏｅｓ Ｂｙ ～僕等のかえりみち～

「……はあ～……。」





携帯の画面を広げて…、
机の上に置く。



それから…、今度はお弁当を広げて。






「……はあ……。」





もう一度、ため息をついた。







完全なる一人空まわり…。





「……てか、連絡くらいよこせよ。」





フキに箸を突き立てて、それを……ひと口頬張った。




「……旨い。」




自画自賛。




……中道の喜ぶ顔……




見たかったのにな。









「……珍しくお一人さま？」




そんな私を見兼ねたのか、りっちゃんと凪が……



私の隣りの席を陣取った。







「………。馬鹿な奴ね～、中道。」




もう一つの弁当に気づいたりっちゃんが…、それをひもといた。




「…悔しがるがよい。」




いただきます、と呟いて……。





すぐさまそれをパクつく。




「……うっま～い！」



「……ありがと。」




「……どれどれ。私も。……………うまいッ！」





「…………。」




優しいなぁ、二人とも。



てか。凪ってば演技がかってるし。





「…柚、あんたさぁ…」



凪は口いっぱいにおかずを頬張りながら…



言葉を続けた。






「……何そんなにしんみりしてんの？」



「そう？至って元気だけど。」



「…そうかねぇ？」



「……そうだよ。」




「「…………。」」




そこで、会話は途切れる。





「中道、何で休みな訳？」



ズバッと核心部分を突くのは…、




やっぱりりっちゃん。




「……さあ、知らない。」




「どうりで不機嫌なわけだわ。」



「…………！」



「……すーぐ無口になるし。態度に出過ぎ。」



「…………。」




言い返す言葉もないわ。






「……連絡もないから、おかげで私も遅刻ギリギリ。休むなら休むでメールひとつくらいよこせばいいのに。」




「……。らしくないわね、中道も。」




「でしょ？」




「…それはアンタもね。たった一日のことなのに…。そんなに好きなんだ？」




「…そんなんじゃないよ。」