As Time Goes By ~僕等のかえりみち~





「なに…?どうしたの。」






私は覇気なく答えて…。




不意に、目を逸らす。





「まるで今は聞きたくないっていう顔だね。」


結は呆れているような、ちょっと怒っているかのような口調でそう言うと……、



ベッドの上に、ドカっと座った。




「……まだ連絡来ないんだね。」


私の溜め息が……結に伝染していた。



「……ん。」


「先生には聞いたの?」


「…うん。」


「で、なんて?」


「……家庭の事情だって。」


「まあそりゃあそうかもしれないけどさぁ……。」


「……うん。」



「中道くんのことだから、そのうちひょっこり来そうだけどね。」


「……だと……いいけどね。」





拭いきれない不安は。


小さな幸せを噛み締めていたあの日々を……



少しずつ、少しずつ、蝕んでゆき…。





たった数日、会えないだけで…

声を聞けないだけで……







君の面影を、どこかに見出だそうとしていた。





それは、学校にいても家にいても同じで……






朝になると、白く曇った窓ガラスを擦って…、



あの日のように、君の足跡がないかと……





探してしまう。








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