As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
しばらく歩いて行くと…、
「柚……!待って!」
私が歩いて来た道筋を頼りにしながら……、
結が追い掛けてきた。
「……結?!どうしたの?」
お互いに、ぬかるむ足にふらふらしながら…
距離を縮めていく。
「……今日、気温上がらないみたい。だから…私のマフラー使って!」
「……わざわざその為に…?」
コートも着ないで?
「………ん!」
質問に答えぬまま。
結はマフラーを突き出す。
「…肩の力抜いて。いつも通りに…、だよ?」
「……うん、わかった。…ありがとう。」
私はそれを受けとって……
自分の首に巻き付ける。
「………似合う?」
「そりゃあ私と同じ顔だもん。……似合うよ。」
「…そりゃそっか。」
白い息を弾ませて……
結がふふっと笑った。
「……行ってきます。」
「ん。行ってらっしゃい。」
私の背中を……
きっと彼女は見送っている。
見守ってくれてる。
中道と会うだなんて…、
結に話してなどいなかったのに。
どうして……
わかっちゃうのかなぁ…。