As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「……中道っ…!」
私は小走りで……彼の元へ向かう。
「………うえは…、あ!」
中道が私の名前を呼びかけた時……、
すてんっ
と漫画ばりに……派手にこけてしまった!
「走ったらそーなるだろうよ、何してんの~、お前。」
手を差し延べてきた中道は……
いつもの中道だった。
半分呆れながら、半分笑いながら、私の体を引き上げる。
「……ご…ごめん。イタタ…。」
インパクトありすぎな登場…。
違う意味で印象づけてどうするのよ…。
ぶつぶつと呟いていると…。
「丸聞こえ。つか、相変わらず元気そーじゃん?」
「………。それが取り柄ですから。」
「あ~…、ハイハイ。」
交わす会話も……
いつもと変わらない。
まるでこの一週間、何事もなかったかのように……。
「…てか、中道早いじゃん。」
「おう。野球始めてから、時間には厳しい生活送ってたからな。」
「いい習慣だね。昔のアンタじゃ考えられないよ?」
「はいはい、小言はいいから早く行こう。じっとしてるの寒みーよ。」
「…………。」
中道の鼻の頭が……真っ赤。
「……。カワイイ。」
思わず指先でちょんっと触れると……。
「………。」
ふいっと……
顔を逸らされてしまった。
「…………。」
少しだけ……違和感。
「…ホラ、行くぞ。」
中道は…私の肩を掠めて、すたすたと先を歩き出した。
すこしだけ、きまりの悪い顔してた……。