As Time Goes By ~僕等のかえりみち~






施設内のスポーツやスポーツゲームはほとんど挑戦し……、



最後にやって来たのは、



やっぱり……






野球。





バッティングコーナー。





もう既に、腕の上がらない私は…



見学希望。


…と、言いつつ……。




本当は、奴が野球をする姿をじっくりと見たかっただけ。










金属バッドが小気味よい音をたてて……




ボールが高く舞い上がる。






「キャッチャーフライ。」



「……うるさい、そこっ。」









さっきのバドミントンとは大違い。





空振りは一切なし。






投げられてくるボール全てをバットに当てて……





気持ちいいくらいに遠く、球を飛ばしていく。







「ねえ、中道……。」




「…ん~?」



「今から…賭けしない?」



「…は?『賭け』?………いいけど……。」



「お。さすが!…これから6球。つまりは…1イニング分打って……。ホームランの的に当たるかどうか。」




「……多分、楽勝じゃん?」




「……言い切ったね。」




「言い切ったよ。」




「…………。」



こんなやり方でしか……



君の気持ちを試すことができないなんて…、情けないにも程がある。



中道…。
卑怯で……、ごめん。




「……じゃあさ、もし、一球も当たらなかったら……。私の聞きたいことに、答えてくれる……?」




「………いいよ。」





お互いに……



負けず嫌いな頑固者。




賭けにのってくるアンタも……





きっと、言えずにいることが……




あるんだろうな。






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