As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
まさかの……
初球ホームラン!!
「……天才か。」
自分で驚いている…中道。
こんな所で、アンタの勝負強さを発揮しなくていいのに……。
ドラマチックにするなら、最後の一球まで取っておくのが普通でしょう?
……って、そんな展開望んじゃいないし、現実は…そうそう甘くはないってことか。
他力本願なやり方じゃ…アンタにゃ通じないんだな。
「……これが甲子園だったらなぁ…。」
奴が、ポツリと呟く。
「ホントにね。てか、甲子園どころか地区予選にまず勝たないと。」
「…………。」
「……レギュラーとってさ。」
「……そうだな。でも、甲子園には出るよ。」
「……それも…予告?」
「ん。出れたらかなり格好よくね?」
「…出れたらね。ダメだったら笑い飛ばすよ?」
「…出るよ。だから…、今の予告、覚えてろよ?そして馬鹿にしたことを後悔しやがれ。」
「………。馬鹿になんてしてない。それに…、信じてあげる。」
「…………。うん。…そっか。」
中道は、バッドを片付けると……
扉を開けて、外へと出てきた。
「……で?」
「……?何?」
「お前、俺に聞きたいことあるんだろ?」
「……!……嘘だよ、そんなの。」
「あ?折角勝ったのに、歩み寄ってやろうとする俺の優しさがわかんないかな~?」
…違うでしょ?中道。
アンタはやっぱり…
勝負師だね。
こうやって、敵に情けを売られることで……
私はもっと意固地になる。
それを知ってるから……。
そう言って、
釘をさしているんでしょう……?
「……本当に、何もないの?」
「ないって言ってんじゃん。ただ、ああ言ったら…アンタがどんな顔するのか見たかっただけ。」
「………なんだ……。…そっか。」
不意に目を逸らしたのは……
きっとその顔を見られたくないから。
中道、アンタ今……
困った顔してる。
勝負師の癖に……、どこかツメが甘い所…。
なんとかしなよね。