As Time Goes By ~僕等のかえりみち~



「でもさ、あの頃から比べれば…ずっとずっと夢が現実味帯びて来てるよね。私は怪我から復帰したし、あとは陸上で全国に!もっと先言えば…美容師になって……家を継ぐ!アンタは……」




「…柚の作った弁当を食べること。」



「……は?!違うでしょ!」



思わず突っ込むけど……。


ソレ、実現出来そうだったんだからね!



「…まあ、それもあるけど…。どっちかっていうと…やっぱ甲子園かな。」



「……。わざわざ天秤にかけていただきどーも。」



おちょくってるのか、照れ隠しなのか……?


イマイチ掴めない。





「ちっぽけかもしれないけど。今となっては…あの頃のアンタと私に言いたいよ。『見てろよ、バーカ』って。」



「つーか、そんなに前の話でもないけどな。俺にとってはつい最近のことみたいに……まだ、リアルに思い出せる。すっげーアホ面して空を見上げる上原。」



「……そういうことばっか覚えてんだから…。綺麗な思い出を返せ~!」




「バッカ。返せるかよ。あの時二人で居たのはほんの一瞬かもしんないけど…、一生もんなんだよ。貴重な外デート。あれが…俺らの初めてのデートなんだから。」




「……………!!」




「…今日は二度目。……気づかなかった?」





「………。全然……。」




「やっぱりな。まあ、今日はあの日を上回る楽しさだったし……、一生もんがひとつ増えたかな。」



「……思い出はどんどん積み重なるんだから…、大袈裟だよ。」



「いーんだよ、言わせておいて。」




「……………。」






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