As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
冷たい……唇。
それが離れて……。
ふと、目を開けると……
「柚……、またな。明日…部活ガンバレっ。」
中道は…眉を垂らして。
ものすごく優しい顔で……
笑った。
途端ー……、
くるり、と踵を返し…、
ゆっくりと…その背中は遠くなる。
「………また……。」
その後ろ姿に……、
私は小さく呟く。
「……中道…。」
『また』なんて…あるの?
次に会えるのは…いつ?
何故……
何も…言ってくれなかったの?
君はこの数日間……、
誰とも連絡をとらず、
一体どこで、
何をしていたのか…。
まだ……
知らない。
知らされもしない。
私は左手に付けた…ブレスレットをぎゅっと右手で握り締める。
知られたくないのかも…
しれない。
聞くべきじゃ…
ないのかもしれない。
小さくなった君が……。
いつの間にか、こっちを見ていた。
「ー………。」
口元が……何か動いているようだったけど。
私には……
届かない。
「中道ッ!なにーっ?!」
私は思い切り叫ぶ。
それが、君に届いたのかどうかは…
わからない。
君は、大きく手を振って……
その、道の先へと………
消えていった。