As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
翌朝……
私は約束通り結を起こし……
いつものように、出掛ける。
結はまるで昨日の出来事なんて忘れているかのように……
呑気に私を送り出した。
一体ぜんたい何だったんだ…?
この日の部活は午前中だけで……
私は紗枝と別れると、早速帰路に着いた。
今日は顧問が用事があるとかで……
時間キッカリに終わった。
「あ~…お腹すいた…。」
何かしたわけじゃないけれど……
腹時計は正確だ。
…と……、
小学校のグランド脇に差し掛かる。
「お。…試合?」
いつもより賑わいを見せているグランドには……
沢山の大人達がいる。
どうやら子供の練習試合を見に来ているらしい。
「…ひょっとして…中道、いるかな。」
私はフェンスに手をかけて…
その隙間から、様子を伺う。
「………。」
昨日中道に指導されていた少年が、セカンドとショートに入っていた。
「…あの子たち、守備上手いんだ…。」
だからこそ、厳しい指導してたんだな…。
ボードには、手書きで数字が書かれていた。
「……2対1。九回裏…ランナー1塁か…。」
相手チーム最後の攻撃。
1点差で、どうやら中道のチームが勝っているらしい。
…が、同点ランナーあり。
「カウントがわからないな。」
私は食いつくようにして……
試合の行方を見守る。
ピッチャーが振りかぶって……
ストレートを投げる。
…フルスイング。
「…ストライク。」
次の球は…緩やかなカーブを描いていた。
…が、
ミットの前にポトンと落ちる。
「…ボウル。」
そして、3球目…。
真っ直ぐど真ん中のストレート!
『カキンッ!』
小気味よい音を立てて…
鋭い打球が飛んでいく。
「…ショート!」
思わず……
私は叫んだ。