As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
私、上原柚は……
双子である。
双子の妹は、結。
一卵性双生児。
顔ー…同じ。
身長体重ー…ほぼ同じ。
髪型ー…まる被り。
まともに区別がつくのは両親と…
幼なじみの律(りつ)、それと…同級生の、紗枝くらい。
大きな違いと言えば……
性格だろう。
恋は女を磨くと信じる結はー……
とにかく、常に彼氏がいる。
つまりは……
モテ女。
愛読書は、ファッション誌。
流行を逃さない、
手を抜かない。
実は…
相当な努力家。
一方の私、柚はー…
男っ気なし。
色気なし。
陸上短距離に全てを捧げるスポーツ少女。(自分で言うか?)
好きなテレビ番組ー…、プロ野球中継。
ビール片手に…とはいかないから、湯呑み両手に緑茶啜りながら。
…ね?
正反対でしょう?
てか…、
誰に話してるのよ、私…。
心ん中で自分自身と会話してしまう難癖アリ。
…が……、
「柚、妄想やめて。」
時折結に突っ込まれる。
これは双子ならでは。
なんとなく……
相手の行動が読めることがあるのだ。
が…、結はすぐにプイっと顔を背けた。
そうでした。
喧嘩中だった。
なぜなら……
私を結と勘違いして告白してきた相手…、【里中佳明】を興味がないという理由で振ってしまったことに他ならない。
だいたいつい最近言ってたんだけどね。
彼氏いらないって…。
まあ、相手が相手なだけに……
ショックだったのかもなあ……。
それでも私達のいいところは、喧嘩してもすぐに仲直りするところであり……
翌日、
結はケロリとした顔で……
「ゆう~、遅刻するよ~!」
いつものように、私をたたき起こした。
そんなこんなで……
私達の日常は繰り広げられていく。
15年間、何も変わることなくー…。