As Time Goes By ~僕等のかえりみち~










「現実は……、厳しいね…。」




「全くだ。」






競技場の観戦席に腰をかけて……

私と紗枝は、大きく息を吐いた。






「いけると思ったのになあ……。」




100メートル決勝…。




ここ最近の中でも…会心の走りであったが…。



結果は……7位。







沢山の背中を追い掛けて、


必死になって後を追うのは…



いつぶりのことであっただろう。







「……いつまでも過去の栄光に縋っていては…駄目ってことだ。」





人の先を走る快感……。

そんなものにいつまでもとらわれていたから、いつしか闘争心というものを…忘れていたのかもしれない。




「まだまだ…これから…、か。」





不思議なことに……。
以前のように、肩を落とすことは…ない。




インターハイへの道はまだまだ険しくて…
そう簡単にいくはずは…ない。




そうでなくちゃ…
やり甲斐も、楽しみも…ないんじゃない?







< 505 / 739 >

この作品をシェア

pagetop