As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「現実は……、厳しいね…。」
「全くだ。」
競技場の観戦席に腰をかけて……
私と紗枝は、大きく息を吐いた。
「いけると思ったのになあ……。」
100メートル決勝…。
ここ最近の中でも…会心の走りであったが…。
結果は……7位。
沢山の背中を追い掛けて、
必死になって後を追うのは…
いつぶりのことであっただろう。
「……いつまでも過去の栄光に縋っていては…駄目ってことだ。」
人の先を走る快感……。
そんなものにいつまでもとらわれていたから、いつしか闘争心というものを…忘れていたのかもしれない。
「まだまだ…これから…、か。」
不思議なことに……。
以前のように、肩を落とすことは…ない。
インターハイへの道はまだまだ険しくて…
そう簡単にいくはずは…ない。
そうでなくちゃ…
やり甲斐も、楽しみも…ないんじゃない?