As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
窓から差し込んでくる日差しが……
初夏の訪れを告げる。
むさ苦しいこの空間に。
ぶつかり合う…肩と肩。
汗と泥の匂いが……
妙に……鼻につく。
「なあ、お前…さっきから何見てんの?」
「ん~……?」
アンダーウェアを着ながら、片手には…
携帯。
「……ん~?速報。」
「は?何の?」
「…陸上の大会。」
「は~?」
怪訝な顔つきで……
そいつは俺を、じっと見た。
「……女か。」
「……。そんなんじゃ…ねーよ。」
俺はロッカーの中に携帯を投げ込んで…、それから、使い古したグローブを徐に取り出した。
その扉を…閉める。
私語が許される…、つかの間のひと時。
「…どれ…、…行くか。」
照り付ける太陽の下へと……
僕等は飛び出して行った。