As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
そんなある日……。
一日中部活に明け暮れ、半ばフラフラになって家に帰ると……、
結がリビングでぼんやりと、テレビの画面を……
見つめていた。
「…結?どうした…?」
テレビに映っていたのは……
高校球児。
ちょうど…、ゲームセットのサイレンが鳴る瞬間……。
「……甲子園……。」
敗北したチームの選手達が、汗と涙を拭いながら……
懸命に、甲子園の土を…掻き集めていた。
一心不乱に、けれど誇り高き勇者の姿……。
「……あのね。」
結が……
口を開く。
「いないかなって思って……一日中見てた。」
「………?」
「……中道くん。」
「…ああ……。」
「もしかしてって思ったけど…、そうそう出れるもんじゃないもんね。」
「……そうだね。」
私の近くにいる人達は…
どうしてこんなにも優しいのだろう。
結で……、3人目。
実は他に二人……。同じように、情報に目を凝らしていた者がいる。
律に…、佳明。
忙しい部活の合間を縫って…連絡をくれた。
そう言う私も。
携帯を手放せない…自分がいた。