As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
10か月ぶりに会った祖母は……
とても小さく見えた。
手を組んで、穏やかな表情を浮かべたまま……
天を仰いでいて。
声を掛けたら、
「侑。」…と名前をよんで。
目を覚ますのではないかと……思った。
祖母の希望により……、
葬儀は親族のみで執り行われた。
喪主は……
叔父。
祖母の最期を看取った叔母の…夫である。
父は肩身が狭いのか、終始顔を上げることはできずにいた。
ただ……、目にはうっすらと涙を浮かべて、込み上げる後悔、そして自責の念に押し潰されまいと……、気丈に振る舞っていたようには……見えた。
火葬場で、棺の扉が閉められるその時に……。
俺はようやく初めて…、祖母の死を自覚した。
くも膜下出血……。
それを引き起こしたのは……
昨年の話だ。
後遺症として片麻痺があり……、
自活できなくなった祖母を俺が支えていける訳はなく、
比較的近くに住んでいた母方の妹夫婦が面倒を見ることになった。
一人になった俺は親父に連れ戻されて……、けれどそれは、誰よりも祖母が望んだことだったと…
今更ながら、知った。
大好きな野球を……
ちゃんと、親元で続けるべきだ、と…。
祖母に負担を掛けていたのは、
責められるべきなのは…
俺だ。
死因は……肺炎。
後遺症により発声と嚥下(えんげ)にも障害が残っていたのだと言う。摂った食事が肺に入り…、肺炎を起こした。
そして。
そのままー………。