As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「さっき携帯で丸井の寝顔写メってたじゃん。」
「……ああ、なんだ。バレた?」
てか……、
知られたくないのかな、家族のこと。
「…嘘つき。」
だとしたら…、結だけは特別なのかな…。
「…お前さあ、野球好きなんだって?」
「……何よ、急に。」
「結が言ってたから。プロ野球いつも見てるって。」
「……結が?」
「うん。おまえら共通点あるじゃん?野球好きな所とか。」
それは……
中道、それは違うよ。
結が好きになったのは、アンタが野球を教える姿を見てからのことで…。
「……うん。そうだね。」
でも…
言えない。
「この前練習試合あってさ。あいつら6年になってから初めて勝ったんだよ。」
中道は……
何だか嬉しそう。
「…知ってる。最後にダブルプレー決めたでしょう?」
「…?何で知ってるの?」
「………。結に聞いたから。」
「………。ああ…、そっか。」
…嘘……
ついちゃった。
「…試合終了間際にお前みたいな奴見つけてさ。俺…声掛け損なったんだ。いや~良かった!声かけなくて。だよな、お前がいる訳ないか。」
声…
かけようとしたの…?
でもアンタは『結』って呼んだよね。
「そうだよ。…なに?私の幻影みる程病んでた?」
「…………。」
「………えっと…、アレ?」
何故黙る?
「…ぶ……」
「『ぶ』?」
「ぶわ~かっ!」
「………?!」
「お前はあほだ。」
「どーせ……。」
「出た、その口癖。『どうせ』お前どんだけ自分を卑下してんだよ?」
「……いいじゃん。私はどーせ結みたくかわい気はないし?色気ないし?野球バカだし?」
「お前なあ…。」
「なに?」
「野球馬鹿に…悪いヤツはいねーぞ。」
「………。」