As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「………ハイ?」
中道が…それを制した。
「待ち合わせとか…連絡とらなきゃいけないから、番号教えて?」
「…あれ、知らないっけ?」
「知らねーよ。つーか、学校の女子の携帯番号…誰のも知らない。」
「……。」
さっきも…
教えてなかったな。
けど……
「てか、こんな席近いんだから話せばいーじゃん。」
「そうだけど…、当日連絡できないと何かと不便じゃん。」
なんだ……
そういうこと。
「…初登録が私?」
「うん、そう。」
「……そっか……。」
結とは…
交換してないんだ。
なんとなく……
ホッとする自分がいる。
「…は~やく、赤外線で送って?」
「……うん!じゃあ…いくよ。」
携帯と携帯を……
背中合わせにする。
……そーしん!
「…お。…来た。…ははっ…、お前のアドレス…『yuuyui』?もしかして結は名前逆?」
一瞬…
ドキっとした。
「…当たり。」
「覚えやす…。…あ!」
「今度は何よ。」
「89って……、おまえらの誕生日?」
「お。目ざといっ、…気づいた?」
「【野球】…か。すげーな。」
「でしょ~?」
「…一生忘れらんねーな!お前の誕生日。」
中道が…、
余りにも嬉しそうに笑うから……
私もついついつられて笑う。
「………上原。」
「…ん?」
「偶然だな。」
「………?」
「…8月9日。」
ヴー…ヴー……
私の手の中で……
携帯が鳴った。
メールの受信ボックスを開く。
そしたら……
『俺も同じ誕生日』
「…え!うそっ!」
私は顔を上げて、中道を見た。
「もしや三つ子だった?」
「馬鹿、んなわけないじゃん。」
私は…
そっとそのアドレスを登録する。
…深い意味なんて、ない。
あるわけがない。