As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「……ありがとう。」
思わずそんな言葉が…零れた。
目頭が……やけに熱くなった。
両チーム挨拶を交わし、それぞれの一歩を踏み出してゆく。
『〇〇高校対××高校の試合がまもなく開始します。まず先に守るります〇〇高校のピッチャーは………くん。キャッチャー………くん……』
アナウンスが、先発メンバーの名前を読みあげる。
『ショート、中道侑くん。』
当然ながら、俺の名前も呼ばれた。
それだけで…
胸が熱くなる。
審判のプレイボールの合図で、けたたましくサイレンの音が響いた。
夏の甲子園三日目。
一回戦、第二試合…。
負けられない戦いの……幕開け。