As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「……………。」
「……2年だ。人が変われるのに…十分な時間があった。アンタだって、わかってるから…口出ししないんだろ?」
「……うん。」
「なら…、そのままにしておけよ。里中が報われない。」
「ならなんで、私に余計なこと吹き込むのよ?」
「……さあ…?誰かに言ってスッキリしたかったのかもな。それとも…少しだけ、奴の肩を持ちたかったのかも。これ以上…悪者にはなりたくないからね。」
「…………。」
「ついでに…、アンタはいい方向に変わったと思うよ?」
「……そりゃどうも…。」
「何でも出来そうな割に…、案外不器用だったり。姉とは真逆だね。」
「…ええ、どうせ私は何もできないですよ。すみませんねぇ…。」
「…けど、努力するだろ?そこはやっぱり双子だなぁ……。」
「…………。」
「…俺、アンタに当たり強いかもしれないけど……、期待してる証拠だから。」
「………え。」
「だから……、クラスの方のことは、しっかり任せたよ?」
「………は、はい……。」
「…じゃ。また後で。」
「……うん…。」
三井くんは、私とは真逆の方向へと…走っていった。
「……あれ?」
あの人…、一体何をしにこっちに来たの?
あんなに急いで、忙しそうなのに……。
わざわざ……私にソレ言う為?
『期待してる』
「……馬鹿じゃないの…。」
わざわざ……、本当、馬鹿だ。
私に気遣かって…、
その上。みんなのことまで…気にしてるというの?
どんなにお人よし?
……てか、ずっと引きずって…いたの?
「不器用メガネと呼ぼうかな。」
トップに立つ人間は周囲にも気配りができなくては……。って、律の言っていた言葉の意味が……
今更ながらにわかる。
「…………。」