As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
美容室を休業した父と母が…
そこに待ちわびていた。
………随分と……長い沈黙が続く。
「……変な感じ。」
痺れを切らした結が……
ポツリと言葉をもらした。
「もうっっ、腫れ物扱うようにしないでよ。大丈夫って言ってるじゃん。」
プリプリする彼女に…
口数の少ない父が、ゆっくりと…口を開いた。
「…わかってるよ。そんなに念を押すのは…自信がないからか?」
「………はい?」
「お前が苛立つ時は、大抵不安を抱えている時だ。」
「…………。」
「…誰も……、心配なんてしてないよ。お前なら…上手くやれると思ってる。だからもう少し…落ち着きなさい。」
一瞬にして……結は黙りこくった。
「……もう……、柚のバカ。だから嫌だって言ったのに。」
図星……だったのだろう。
結は目を潤ませながら、私をキッと睨みつけた。
「……はいはい。」
ホント…、手がかかるんだから。