As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
翌日……。
店内を掃除する私に、スタイリストの鏡さんが…
手招きしてきた。
「……?何ですか?」
「ちょっと外も掃除してくれる?泥だらけの落ち葉とかイマイチ見栄えよくないし。」
「はーい。」
勿論、何の疑いもなく、箒を持って外へと飛び出すと……
「見つけた。」
「………?!」
イキナリ…
何者かに腕を掴まれる。
よくよく見ると。
そこには何故か……
中道。
「見つかった……って、……え?」
ちょっと待って。
昨日(一方的に)会ったばかりとはいえ、今まで何ひとつ音沙汰なかった中道が…何でここに?!
「何でって顔してるな。」
久しぶりの再会なのに…
何故か彼は不機嫌そう。
「佳明に電話してお前の居場所聞こうと思ったら…この辺りの美容室で働いてるって言うから……。すげー探した。」
……って、よりによって佳明に……?!何で?!
「お前…、昨日球場に来てただろ。」
「………!!」
ばれてる……?
「…意外とみんな…見てるもんなんだよ。『主婦の集団の中に若い可愛い子がいる』って聞いたら…そりゃ俺だって見るだろ。そしたらお前みたいな女だし…おまけにおばちゃんと話しただろ?アレ、正真正銘俺の叔母だから。」
「……ええっ?!」
「テレビ見て俺の試合見たいって、ミーハー心全開で来たんだけど…まさか甥っ子の追っかけがいるとは思わず?ソッコー連絡来たっての。」
「……………。」
そりゃあ…不機嫌にもなるよね。
別れた女がコソコソと追っかけしたことになっちゃってるんだもん。
下手したら……ストーカー扱い…?
「…ご、ごめん!」
「は?」
「そういうつもりじゃ…。」
「……じゃあ…どういうつもり?」
中道はちらりと店に目をやって…。
それから、私に向き直す。
中道にならって店の中をみると……
オーナーと鏡さんが、硝子張りのその壁にピッタリと張りついて……
私達を見ていた。
鏡さんには昨日全部話したから……
バレバレだ。