As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
私はドアの隙間から顔を覗かせ、取り敢えず二人を追い払う。
それから、
「どういうつもりって?」
「お前……、佳明と付き合ってんじゃねーの?」
「……何で知って…。」
「んなの…、どうだっていいじゃん。なのに何で今更誤解されるようなこと……。」
「…………。ただの…興味本位だよ?私を置いて、野球を選んだアンタが…どんなプレーしてるのか気になっただけ。」
「嘘つけ。」
「嘘じゃない!」
「…なら、このことがあいつを傷つけるとは…思わなかった?」
「……それは……。」
思ったよ…。
思ったけど……。止まらなかった。
「……お前…、あいつと何かあったんだろ。でなきゃ俺のとこに来るわけない。」
「…………。」
「あいつに聞いたら…お前に聞けって言うし…。お前らどうなってんの?」
それを………
どうしてあなたが気にするの……?
「そっちこそ…今更なに?音信不通かと思ったら…佳明とは連絡とってたんだ?」
「昔の携帯から、番号拾っただけだ。」
「私には何の連絡もしないくせに!関係ないじゃない、アンタには。」
「…お前こそ。…関係ないなら……今更……現れんなよ。」
「………。」
「甲子園だってそうだ。上原が来てて…俺が気づかない訳ないじゃん。」
「……え?」
「……嬉しかったんだよ。お前は興味本位だったかもしれないけど…、嬉しかった。」
「………訳……わかんない。中道、アンタ訳わかんないよ。」
「俺は…、アイツだから上原を託した。お前を忘れたことなんて…ない。陸上で全国の一位とったことも知ってるし、きっと今だってこうして美容師目指して頑張ってるって…わかってた。」
「…………。」
「上原が幸せだったら、あんな風にこそこそと俺に会いになんてこなければ……。諦められたのに。」
「…諦める?」
「限界かなって思った。球場でお前を見た瞬間に……。」
「……なら、どうして黙っていなくなったりするのよ……。」
「あの時は…まだ子供だったし、ついて来いとも、帰れないのに待っててなんて……言えないだろ。何より……心がわりされたら、それこそ立ち直れないって思った。あれが…最善だと…。」