As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「……ただいまー……。」
久しぶりの…帰宅。
なぜこんなに留守にしていたか、というと……。
美容師の先輩、鏡さんの家に…入り浸っていたから。
お蔭様で…、我が家は生活感ナシ。
以前はよくしていた料理も、佳明と別れてからは……
あまりしていない。
一人で過ごす時間は……
思いの外、寂しかった。
この部屋は……、すっかり寝に帰る場所へと…化していた。
私はスニーカーを脱ぎ捨てると、
片手いっぱいに溜まった郵便物に…目を通す。
「………ん?」
料金の請求書やらダイレクトメールやらに挟まれた……
一通の、厚手の封筒。
それには、金色のばらのシールが…貼ってあった。
差出人は……
「え。りっちゃん?!」
最も…意外な人物。
ベッドにドカっと座って…、逸る気持ちを抑えながら、シールを剥がす。
中から取り出したカードのような物に……
男の人と、律の名前が並んで記されていた。
「……はっ?!……結婚?!」
なんと、それは……。
披露宴への……
招待状…!!
「あれ?この前会った時…、何も言ってなかったのに…?!てか…この人誰っ?」
りっちゃん……、男の影などおくびにも見せず……。
見事な結婚1番乗り!
てか、結婚までちゃっかり?!
「…………。あ。有給とる理由ができた。」
私はカレンダーをめくって……その日付を確認する。
「…………うわぁ…、楽しみ。」
中には……
水色の便箋がもう一枚。
柚へ
どう?びっくりした?
してやったり。
ちなみに旦那は他校でバレーボールしていた先輩だよ!
ところで、お願いがあります。
当日のヘアアレンジを柚にして欲しい。
返事、待ってま~す!
律より
もちろん私は……
二つ返事でOK!
すぐに電話すると……
『アンタ、その招待状いつ見たのよ!』…って…、プリプリしながら笑った。