As Time Goes By ~僕等のかえりみち~





その人影が近づいてきて…




ハッキリとこの瞳に…




その正体を映し出す。











「……な…、なんでアンタがここに…?」



「それはこっちが聞きてーよ!なんか練習みてる奴いるなって思ったら…お前だし。てか、監督すっぽかして追いかけてきたのに……無視はねーだろ。」



「………。中道だ…。」




「…あ?」



「本当に…中道だ。」



「そうだけど…。」



「……帰ってきたんだ?」



「……?うん、まあ。つっても3月くらいにだけど。」






中道が……



帰ってきた。






帰ってきたんだ。





「……おかえり。」



「え?」



「おかえり…、中道。」







涙が……出てきた。



今まで我慢した分、何年か分の……涙。







「何で泣くの?」



「…だって、帰ってきた……。」



「……うん?」



「待ってたんだよ。本当は、ずっとずっと……。」




「……お前…、里中はどうした?何泣いちゃってんの?」




中道の手が……


遠慮がちに、私の頭に触れる。





「別れたよ。私は……、アンタの前でしか泣けない。泣きたくなんかないのに、いつかまた会えたら…笑顔で話そうって思ってたのに。」





< 670 / 739 >

この作品をシェア

pagetop