As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
その人影が近づいてきて…
ハッキリとこの瞳に…
その正体を映し出す。
「……な…、なんでアンタがここに…?」
「それはこっちが聞きてーよ!なんか練習みてる奴いるなって思ったら…お前だし。てか、監督すっぽかして追いかけてきたのに……無視はねーだろ。」
「………。中道だ…。」
「…あ?」
「本当に…中道だ。」
「そうだけど…。」
「……帰ってきたんだ?」
「……?うん、まあ。つっても3月くらいにだけど。」
中道が……
帰ってきた。
帰ってきたんだ。
「……おかえり。」
「え?」
「おかえり…、中道。」
涙が……出てきた。
今まで我慢した分、何年か分の……涙。
「何で泣くの?」
「…だって、帰ってきた……。」
「……うん?」
「待ってたんだよ。本当は、ずっとずっと……。」
「……お前…、里中はどうした?何泣いちゃってんの?」
中道の手が……
遠慮がちに、私の頭に触れる。
「別れたよ。私は……、アンタの前でしか泣けない。泣きたくなんかないのに、いつかまた会えたら…笑顔で話そうって思ってたのに。」