As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
6月某日ー……
私はバスに揺られながら、窓から見える、雄大な山々を…
ただただ、見つめ続けた。
「…あ~、眠たい…。」
隣りで目を擦っているのは、中道……、ではない。
「寝たら?パーキング着いたら起こすよ。」
「…ダメっ、身体のリズムが狂っちゃう。」
「あはは!15分くらいならいいらしいよ?かえって脳が冴えるみたい。」
「……いいの。もっと寝たくなるのを我慢するよかマシ。」
「…そうですか。」
隣りの紗枝は、私の肩にアタマを乗せると……
「…どっちにしても、寝れないだろうけどね。」
そう言って、少し笑った。
バスの中は陸上部員の貸し切り。
東北大会の舞台……
岩手県へと、向かっていた。