As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「それに、チビもうるせーし。」
「…?チビ?」
「おう。弟っ!まだ3歳。帰るとすぐとってかかってくるから正直しんどい。」
「弟!?しかも…3歳!?」
意外すぎ!
私の妄想だと、兄弟は二人で…彼は次男。
【兄さん】なんて…、そう呼んでいるはず!
「四人兄弟でぜーんぶ男!味気ね~だろ?」
里中くんはカラカラと笑った。
この人…、イメージと全然違う?!
草食系の王子タイプかと思っていたけど……(日焼けして筋肉質ではありますが)、
気さくな兄貴タイプ…?
「…毎日老体にムチ打ってるから、たまには癒しが欲しい訳!」
「……老体って!」
思わず…
吹き出してしまった。
「…柚ちゃんが元気になれば、俺は癒されるんだよなあ……。」
「…………。」
…里中くん?
「ねえ、柚ちゃんさー…、俺のこと、正直あんまり知らないでしょ。」
ドキっ…と…、
心臓が脈打った。
「…俺はさ、結構知ってるよ、柚ちゃんのこと。てか、中道に言われてから……必死で知ろうとした。」
「……。」
「…結ちゃんがいっぱい教えてくれたよ。野球好きなこととか、恋バナなんかも。」
「…結のおしゃべり…。」
「…後は、中道からも聞いた。」
中道も…?
アイツ…、何を言った?
「…気になる?何聞いたか。」
「…ううん!どうせ野球バカとかなんとか言ってんでしょう?」
「…お~、さすが!ご明答!それしか教えてもらえなかったよ。」
「…………。」
「…本当はもっと知っる癖に、出し惜しみしてなあ?…まあ、いいんだ。今こうしてすぐ傍にいるし?」
街灯に映しだされた里中くんは…
やっぱり抜群にかっこよかった。
ドキドキと…
鼓動が高まる。
なぜ私は……
この人の隣りにいるんだ……?
疑問符ばかりが飛び交った。
「…野球チームはどこが好き?」
「え…。巨人かな。」
「…俺と同じ。」
「…そうなんだ…。」
「…じゃあさ、好きな食べ物は…?」
「…食べ物…?ええーと……」
「「らーめん。」?」
声が…
重なる。