As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「…何でわかるの?」
「イヤ、俺の好きなもの言っただけ。気ぃ合うな?」
「…確かに。ねえ、じゃあさ…得意ってか…、好きな教科は?」
う~ん、と考えた仕草をした後……
「うん、体育だな。」
……。
同じ……。
双子の結でさえ全く違うのに。
「…同じ?」
里中くんが顔を覗きこんだ。
…てか…、
「……睫毛…なが…。」
「…え、そこ突っ込むの?」
しまった。
つい声に出してしまった。
けれど里中くんは楽しそうに笑っていた。
「…マジすげ~、俺さ、今全く同じこと思ってた!近くで柚ちゃん見て!」
「………。」
「…で?柚ちゃんの得意科目は?」
キラキラと大きな瞳を、惜しみなく私に向ける。
こんなの…
女の子なら誰でもキュンとするだろう。
勿論私も例外なくそんな状況で…
ドギマギしながら、呟くように答えた。
「…た、体育。」
「…やっぱり、な?」
何がやっぱり?
それに何がそんなに可笑しいの?
さっきからずっと笑い通しの里中くん。
でも…
「…なんか、変なの。」
里中くんの笑顔は伝染する。
不思議だな…。
初めてこんなに話をしたのに、まるでずっと前からの知り合いみたい。
心が……、癒される。
「波長が合うんじゃないかって勝手に思ってた。」
「……波長?」
「うん、話してる姿とか佇まいを見ててさ…、絶対似てるような気がしたんだ。」
「………。」
「…やっぱり、俺の癒しなんだなあ、柚ちゃんは。」
【波長が合う】。
そうか…、
この感覚は……、
そういう言葉として表現されるんだ。
「俺は初めから…、柚ちゃんだけを見てたよ。例え同じ顔でも、結ちゃんに気づかないくらいに。」
「…え?」
「…俺はさ、一回振られてるしまた当たって砕ける程の勇気はまだないけど……、知って欲しい。俺のことも。」
「………。」
「きっと楽しいよ、俺らが一緒にいると。」
「…里中くん…。」
「…あ。別にさ、付き合ってとかそういう意味じゃないよ?…友達として!」
「…あ。そ、そうだよね。ハハッ……」
私、今……
絶対顔赤いよね。
ヤダ、里中くんが紛らわしいこと言うからつい……。