As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「……柚ちゃんは素直だから……。顔に書いてある。」
「…そんなわけ……!」
「…柚ちゃん。しーっ……。」
「………?!」
突然、私の口を塞いだ里中くんは……
私ではない、どこか遠くを見つめていた。その大きな手にドキドキしながらも、私はもがいてみた。
一体……
何事?
「あ…、ゴメン。」
里中くんは慌てて手を離す。
「…何見てる……の…。」
身体中に……
電流が走る。
里中くんの目線の先。
そこには……
私の家。
そして……
そのすぐ前に…、
二つの影。
「……結………。」
わからない訳はない。
一人は…、
結。
そしてー……
「………何で……?」
もう一人。
「………中道……。」
いるはずもない中道 侑が……
そこにいたのだった。
「何してんだ、あいつら?」
里中くんは訝し気に首を傾げる。
そして、私に目を向けると…
まるで、
「いいの?」というようにして、ジェスチャーする。
「…里中くん、駄目っ、こっち!」
私は思わず手をひいて……
近所の家の門の陰に、自分と彼の身を滑らせた。
主を失った自転車が倒れ込み……
カラカラと車輪が空回りしていた。
「………。」
…しまった!
すぐに私は……
後悔した。
門に背を付ける私の視界を遮るのは…
里中くんの胸。
おそらく…
里中くんもこの状況に、なす術がないのだろう。
しばらく硬直状態が続いた。
「……人ん家の前で何してんのよ?」
そんな声が降ってくるまで……
彼との距離は数センチ。
「…ひゃっ…!」
ついつい里中くんの胸を押し退けると……
その声のする方に、恐る恐る目をやった。
「……物音がすると思って出てみれば……。なんて意外な組み合わせでイチャついてんの?」
「…いや、これには訳が……。」
「ほほ~う。訳とは?」
「…それはですね……。」
倒れた自転車と、彼女…・律の顔を見比べながら、オドオドする私。
そう……、
ここは、彼女の家。
咄嗟のこととはいえ、とんだ大誤算だ。
「…そんなわけ……!」
「…柚ちゃん。しーっ……。」
「………?!」
突然、私の口を塞いだ里中くんは……
私ではない、どこか遠くを見つめていた。その大きな手にドキドキしながらも、私はもがいてみた。
一体……
何事?
「あ…、ゴメン。」
里中くんは慌てて手を離す。
「…何見てる……の…。」
身体中に……
電流が走る。
里中くんの目線の先。
そこには……
私の家。
そして……
そのすぐ前に…、
二つの影。
「……結………。」
わからない訳はない。
一人は…、
結。
そしてー……
「………何で……?」
もう一人。
「………中道……。」
いるはずもない中道 侑が……
そこにいたのだった。
「何してんだ、あいつら?」
里中くんは訝し気に首を傾げる。
そして、私に目を向けると…
まるで、
「いいの?」というようにして、ジェスチャーする。
「…里中くん、駄目っ、こっち!」
私は思わず手をひいて……
近所の家の門の陰に、自分と彼の身を滑らせた。
主を失った自転車が倒れ込み……
カラカラと車輪が空回りしていた。
「………。」
…しまった!
すぐに私は……
後悔した。
門に背を付ける私の視界を遮るのは…
里中くんの胸。
おそらく…
里中くんもこの状況に、なす術がないのだろう。
しばらく硬直状態が続いた。
「……人ん家の前で何してんのよ?」
そんな声が降ってくるまで……
彼との距離は数センチ。
「…ひゃっ…!」
ついつい里中くんの胸を押し退けると……
その声のする方に、恐る恐る目をやった。
「……物音がすると思って出てみれば……。なんて意外な組み合わせでイチャついてんの?」
「…いや、これには訳が……。」
「ほほ~う。訳とは?」
「…それはですね……。」
倒れた自転車と、彼女…・律の顔を見比べながら、オドオドする私。
そう……、
ここは、彼女の家。
咄嗟のこととはいえ、とんだ大誤算だ。