As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
ああ…、
なんだ……。


そういうこと?




結は律に……


報告に行ったんだ。




「関係ないよ、私には……。」



つまり……、


二人は昨日、何かがあった。




「…中道が選んだのはアンタだったかもしれないのに?」



そう、


あいつは……



結を選んだ。



二人は上手くいったんだ。



「…関係ない。」



「……意地っぱり。やっぱり損だよ。」




律はそれきり……


口をつぐんだ。




「…落合さん。追いうちかけんなよ。」



里中くんが…、
強い口調で律に盾突いた。



「…え?」



「どっちの味方もしてやりたいなら…、そんなこと、言わなくたっていい。柚ちゃんだってわかってるんだ。ただ…、自分が傷つかないように振る舞うのが精一杯なだけで。」



「………。」



「…里中くん。いいよ、別に私は平気だから。」



「…またそうやって……」



「…とにかく!…良かったじゃん。結は本気だったし…。だから…、うん、もうこの話は終わりっ!」



「柚ちゃん。」



「…それに…、ちょうどりっちゃんに渡したいものがあったんだ♪」



「…は?」




私は里中くんの自転車に駆け寄りそれを起こすと……



カゴの中から鞄を取り出し、中を漁った。



「…ホイ、岩手土産。」



「……ありがとう。ナニ、草加せんべい?」



「…それはマジボケなの?草加は埼玉。岩手は南部せんべい。」


「お~。そうか。」



律はアハハっと笑い…、


それから、真面目な顔付きに戻って言った。



「…ホントに…いいんだね?」



「…ん。」



「…じゃあもう何も言わない。」



「ん。」


「里中くん。すぐそこだけど…、柚のこと、ちゃんと送ってやってね。」



「…言われなくても。」



「そっか。そうだよね。…じゃあ、私はこれで。」



「…うん、また学校で。」



「…ん、じゃーね。あ…、煎餅サンキュ。今度は【生煎餅】もよろしくっ。」


……。
ちゃんと南部せんべいリサーチ済みじゃん。



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