As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「…りっちゃんには唐辛子煎餅買えばよかったかな。」



「……それもまたよし。」



「あはは……。じゃあ、バイバイ。」



「バイバイ。あ…、里中くんもまたね。」



「俺はオマケか。」



「いーや。……期待してるよ。」










その日、上原家の夕食には…


土産のじゃじゃ麺が並んだ。



両親も、もちろん結も綺麗にそれを平らげて……



食後には、みんな緑茶を片手に煎餅を食べた。



私は大会での話をして……
一家団欒の時間を過ごす。


その時も…その後も…


結は、一切何も言わなかった。


何故か、中道の話題だけは……。














そして……















翌日…、






私達双子は揃って話題の的になっていた。




学校に着き、いつものように律に挨拶する。



「おはよう。」


「…おはよう。先日はどうもごっつぉ~さん。」



「いえいえ……。」



「まあ、しかし……。面白いよね~、アンタ達。話題になるタイミングも一緒かよ。」



失笑気味の律。




「…はあ?」



もちろん私には何のことやら分からず…



「何が話題に?」




斜め後ろの席…へと身を乗り出した。




「アンタと里中。…で、結と中道。」



「……げ。」



「誤解すんなよ~、私は何も言ってないから?」



「そりゃあ当たり前でしょ。」



「まあ面白いから放っておいてるから?」



「…弁解くらいしてよ。」



「…事実もあるだろうから、本人達が処理する他なかろう?」



「……。ハハ…。」




そうか……。



私と里中くんは、この前一緒に帰るのを野球部の人に見られてたから……。




なら、結達も…


誰かに目撃されたのかな。




「まあ…、いっか。」



面倒臭いことはゴメンだけど…、



誰かに何か言われた訳じゃないし?




「…りっちゃん。煎餅食べる?」



「……は?」



私の切り替えの早さに、律は呆気に取られていた。



「ホント、体育会系だよねぇ。あんたはまだしも、結は大丈夫かな。」



「結も頑としてるとこあるから…、大丈夫だよ。…はい、唐辛子煎餅。」



「…げ。」



「クラスのみんなにも買ってきたんだ~。唐辛子は少ししかないからりっちゃんにあげる♪」


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