As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
その日から中道は……
結と一緒に帰るようになった。
結は相変わらず何も話してくれないけれど……
休日には鏡と睨めっこしてお洒落を決め込む姿に、誰と会うかなんて容易に想像はついた。
私と中道は……
以前のように、ちょっかい出し合うことも、いがみ合うことも……
あまり、ない。
たまに世間話をしたり、野球話をしたり……、
ただのクラスメートと何ら変わらない関係。
近くも遠くもない、
寂しいくらいに普通の距離。
「柚ー、ご飯食べよ!」
「…うん!」
私は出したままのノートとペンケースを……
机の中へとしまった。
【ちゃりん】と…
手元で音が鳴る。
中道から貰ったキーホルダーが、ペンケースの先で…
揺れていた。