As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
一方で……
私は里中くんと仲良くなっていた。
陸上部と野球部。
放課後は…
グランドと、練習場。
私達はフェンス越しに会話したり、
たまには教室から一緒に部活へと向かったりもした。
そうこうしているうちに、いつの間にか公認の仲とみなされていて……、
「いいなあ……。てか、いちゃつくな。」
紗枝ちんの呟きと、
「私語厳禁!」
篠塚先輩の監視が…
より厳しくなった。
否定するのも面倒臭いと、お互いの性格が一致して……
私も里中くんも、次第に周囲を気にすることもなくなっていた。
「ねえ。」
そして今日も……
フェンス越しに、里中くんの笑顔。
「ん?」
「俺らやっぱ…、付き合っちゃう?」
「…………。」
「…そろそろ楽になろう。俺となら…、意地張る必要もない。」
「ねえ、それってさ…、同情?」
「……。もちろん、愛情。」
「……そっか…。」
「…ちゃんと伝わってる?どうも軽~くあしらわれてる感があるけど。」
「そう?ちゃんと伝わってるよ。それに…、意地張る必要はないんでしょ?なら…答えは簡単。」
「………?」
「…楽に……させて?」
「…もちろん。」
こうして……
私達の恋は…、
君と、
私の恋は…。
始まっていったんだ。