対話屋
足止
―あの頃のあなたへ一言を―

古く汚れた看板に目がいった
「一言……」
僕は傘を持っている手を持ちかえて 看板のかかっている小さなビルに体を向けた

「一言かぁ……」
その時は妙にひっかかるフレーズだった 彼女との別れ話の後だったからかもしれない

「一言……一言」
口では言っていたが頭は全く働いていない ただ言っていたら見つかるかもしれないと思っていた
(元気だせよ 気にすんな 大丈夫だって………)
………が 見つかるわけもなく

気づいたら僕の足は小さなビルの中に入っていった
入る前に最初の看板とは違う別の看板が見えた
これも古めかしい が文字が書いてあった

「対話屋」
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