ラブソングを貴女に
プロローグ
結衣に出会わなければ…
喉に腫瘍が出来なければ…
俺は、一生腐ったまま死んで行ったに違いない。
全ては神様が用意した人生ゲームのボードの上で、俺はただ踊るピエロ。
兎に角俺は、あの宣告を聞いて一度死んだ。
もう誰も信じないと誓ったあの日、俺が去ったあのステージ。夏の眩しい日差しが、バカみたいに俺の頭上を照らしつけていた。
冷めた俺とは逆に、あの光だけがただ熱く輝いていたのだ。