【完】君に出逢えて
俺は、なにも言わず目の前の彼女を見つめた。


以前のほんわかとした面影すらない俺の彼女を。


刃向きながらも、目からはうるうるとした涙まで溢れ落ちそうで。


「…紗空と萌愛と話したんだ。」


ビクッと肩が揺れて、もう一度、深く俯く。


「…そうなんだ」


「だから、依麻…俺ともう一度、話してくれない…?愚痴でも文句でも…いいから…」


コクッと小さく、小さく…首を縦に振った。


「屋上、行こう」
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