アルバと風の世界
「もし、落下しても大丈夫です。緊急のパラシュートが
自動で開きますし、この下は、すべて柔らかな
草原ですから」予想マシンが落ち着いた声で
ルシアに言います。

「予想マシン、ありがとう。案外簡単な操作なのね。
飛んでみるわ」

「はい、では、ごいっしょに、アルバのところへ
参りましょう」予想マシンが手を差し出します。

「え?手をつないで飛ぶの?」
「はい、もちろんです。そうしないと方角が
間違うと迷子になると困りますから」
予想マシンは、まじめな顔で言いました。

金属でできている予想マシンの手は硬いけれど
あたたかい気持ちが伝わってきて
ルシアは嬉しくなりました。
思えば、予想マシンがルシアもいっしょに
風の世界へ行こうと言ってくれたのでした。

なぜかなきそうになるのを、笑ってごまかした
ルシアは「予想マシン、よろしくね」

手を取り合って、飛びます。下に見える家々の明かりが
きらきらと幻想的です。夜空に輝く満月も
にっこりと見守ってくれているかのようです。

空を飛ぶのって気持ちいいな。ルシアは
単純に楽しくなっていました。
そして、急に・・あれ?私、昔飛んでたことがある。
こんな風に、手をつないで・・あれれ
いつのことかな?

そう思い出そうとしていると
「ルシア、着きましたよ。ここです。アルバ発見」
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