アルバと風の世界
「そういうのを決めるのは私の仕事ではないです。
ラキアが決めることです。ただ、あなた方も
風の世界に行けば、この世界へ戻ってこれる
可能性はきわめて低くなります。そのことは理解しておいてください」
優しい声が聞こえてきます。

フォーリア長老が
「もどってこれなくても、君たちは行くというのか?」
寂しそうにいいました。

ルシアが「フォーリア長老、ごめんなさい。
戻ってこれないかもしれないけれど、私は行きます。
私も空を飛んでいた記憶が戻りました。
風の世界の住人ではないかもしれませんが
何か、思い出しそうな気がします。そして私は
ラキアの側にずっといたいんです」

ラキアはびっくりしながらルシアの横顔を見ています。
同じくアルバは、わかっていたけれども、衝撃を受けて
呆然としています。

アルバは、ただ「僕は、みんなで、またこの夕焼けの世界に
戻ってこれるはずだと信じています。確率が低くても0では
ないのでしたら、帰る意思があれば、もどれるはずです。
予想マシンもついていますから」希望を言いました。

予想マシンは「全員、戻ってくるかどうかは、今のところ
予想不可能ですが、時空の道を通過できれば
戻ることは可能です」そういいました。

ラキアが「今まで育ててくださってありがとうございます。
戻れるかどうかはわかりませんが、いつか
また、この世界に戻れたらいいなと思っています」
静かに言いました。
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