*NOBILE* -Fahrenheit side UCHIYAMA story-
その後も数回その男と柏木様が一緒になってエレベーターを昇っていかれるのを目撃した。
その度に気になった。
彼が何者で、柏木様のどうゆうご関係なのか。
でもこちらからあれこれ聞くことはできない。
第六条(お客様とプライベートな関わりをもってはならない)がある限り。
ただ
このところ柏木様が良く笑うようになった。
ほんの少しだけど、随所に小さな笑顔を見せてくれるのである。
私はそんな彼女の笑顔が
好きだ。
だけどその笑顔の元となるのは、その笑顔を向ける相手は
私ではない。
……何を言ってるウチヤマ!
「好き」だなんておこがましい!!
大体柏木様はお客様じゃないか!
―――そんなことを考えれているある日、
事件が起こった。