*NOBILE* -Fahrenheit side UCHIYAMA story-
「お礼と言うのもなんですが、夜も遅いのでマンションまで送らせていただきます」
私は駐車場に止めたヴォクシーに彼女を促そうとしたが、
「大丈夫です。お気遣いありがとうございます。早く娘さんの元へ行ってあげてください」
彼女は微笑んで、グレーのスカートを翻すと煌々とネオンが輝く東京の街を歩き出した。
か、
かっこいいな!おい!!
と、トキメいてる場合じゃない。
TRRR
未依から電話が掛かってきて、私は慌てて携帯を取り出した。
「未依さっきは…」
『パパ、ケーキもういいよ。パパが早く帰ってくれればそれでいいや』
未依―――……
私は未依の言葉に涙が出そうなぐらい嬉しくて、慌てて駐車場へと急いだ。
――――
――
柏木様にいただいたケーキの箱を開けると、
ぱかっ
「キャーーー!!すっごい!♪いちごがぎっしり!!」
未依は手を叩いて喜んでくれた。
柏木様が注文されたケーキは私が注文したものよりもう1ランク上のケーキだったようで、
彼女の心遣いをありがたく、そして嬉しく思った。
「うわ~すっげぇ!」と未依の隣に座っていた派手な茶髪の少年もケーキを覗き込み、
………
「未依、一つ聞きたいのだが、さっきからここに座っているこのチャラい少年は誰だい?」
「あ、パパ紹介するね~♪あたしの彼氏でクラスメートのキシモトくん♪」
か、彼氏だとぉーーーー!!!!!