*NOBILE* -Fahrenheit side UCHIYAMA story-
「はじめまして未依ちゃんパパ♪若いっすね~♪♪うちの親父と大違い」
キシモトは馴れ馴れしく私の手をぎゅっと握ってきて、私は目を開いて未依を見た。
「未依お前十六だろ!!彼氏なんてまだ早い!」
私が怒鳴ると、
「パパ考えが古いんだよー。そんなんだからママに逃げられ…」
「え!逃げられたんスか!!!」
キシモト…何故そこに食いつく。
「俺の事情なんてどうでもいいだろう!おいっキシモト!!!未依に触るな!」
「パパ、煩い。キシモト君に優しくないパパなんて嫌いっ」
プイと顔を逸らす未依。
反抗期……き、きたぁああああああ!!!
ぁあ未依…私の可愛い未依が………
と、こうして賑やかな誕生日会を過ごし、
柏木様のくださったケーキは大きくて私と未依+(認めていないが)キシモトでは多すぎるぐらいだった。
それでも未依は始終嬉しそうにしてくれて、良かった―――と思う反面……
柏木様がどんな思いでこのケーキを用意したのか、
彼女は今日と言う日をどう過ごしたのか、気になった。
さして子供好きだったわけじゃない私も、自分の娘、未依のことは目の中に入れても痛くないほど、
可愛い。
だから余計に気になった。
いや、気にすることでもないな。
今はあのカンナの御曹司が居るわけだし。
彼がすぐ傍で柏木様の寂しさを埋めて、彼女を癒してくれることを
私は願っている。