*NOBILE* -Fahrenheit side UCHIYAMA story-
「いや、いいっす」
カンナは面白く無さそうに口を尖らせると、
トン
カウンターに手を置いた。
「単刀直入に聞きますけど、
ウチヤマさん、あなた瑠華に気があるんじゃ?」
本当にどストレートに聞かれて、
『あるわけないだろ、このクソガキ』と思わず答えてしまいそうになった。
しかもそう即答できない私。
恋心じゃないにしろ、私が彼女を気にかけているのは事実だから。
しかし認めてはいけない。
何せ六本全書のようにくそ重いルールブックの最後の項目は
『お客様と恋愛関係になってはいけない』
だからな。