*NOBILE* -Fahrenheit side UCHIYAMA story-
NOBILE
そんなわけで泳いだり、走ったり
コンシェルジュの仕事はまさに体力勝負。
かっこいいとかイメージがおありでしょう?
そんなこともないんですよ。どっちかって言うとかっこ悪いことが多い気が…
そして私も家に帰れば一児の父親―――
「おかえりなさいませお父さん!いい香りっすね!大人の男って感じだ」
と未依の彼氏(私は認めてないぞ)キシモトが家で私の帰りを待っていた。
「キシモト、またお前は私が留守のときにあがりこみやがって!」
「あたしが呼んだの。ねぇパパ、今日はパパの好きなお好み焼きパーティーだよ」
なんて言われて未依に腕を絡められると、意気消沈。
だが
カンナの前に―――目の前でお好み焼きを食べるキシモトを先に闇討ちしなければ、
と私は計画を練っている最中だ。
「キシモトくん気をつけてね。パパ今は爽やかぶってるけど、前は暴走族の総長だったんだよ。だから暗い道は通らないようにね」
………
「未依ーーー!!俺が隠してきたことを、さらっと暴露するなぁ!!」
だがキシモトは全然怖がった様子は見せずに、
「元暴走族が、今は高級マンションのコンシェルジュ!すっげぇ、何その変わりよう!」
と、キシモトは楽しそう。
……だめだ。こいつには何を言っても通じない。
「未依お茶をとってきてくれ」
私は未依をキッチンに追いやると、キシモトを見据えた。
「キシモト、私が香水をつけたのはもう何時間も前だ」
「はい?」
「何故お前は香りが分かった」
私が腕を組むと、キシモトはにやりと笑った。