*NOBILE* -Fahrenheit side UCHIYAMA story-
『六本木パークタワー』
“ここ”での私の存在は空気のようなもの。
たとえどんなことを知っても知らないふり。
確かにそこに居るのに、“彼ら”にとって私は存在しない。
機械のように客の要望を聞き、それを実行するだけ。
人は私をこう呼ぶ。
『便利屋』
しかし彼女だけは私をこう呼んでくれる。
「ウチヤマさん」
私に名前を与えてくれた彼女は私が働くタワーマンション
4705室の住人
そこに住む柏木 瑠華は
美しく、謎めいていて、強く
心優しいひと
これはそんな彼女と私との短いストーリー。
私は
「ウチヤマです」