【短編】あの日見た夢は、今。
あたしには思い当たる節がある。
あそこの席は、確か――……
変態野郎が腰掛けていた席だ。
あそこに座って、グランドを眺めていたところに、あたしが来て――それで、
“ぺったんこ”
と、言われた。
聞きたくもない言葉が、勝手に頭の中で強調される。
あたしが1人でムカついているところに、クラスメイトが口を開いた。
「僕、聞いたことあります。この学校のどこかの教室には、在学中事故に遭ってしまい、卒業できなかった男子生徒が、生前座っていた席に今も座っているって………」
「「!!!??」」
「それって……!」
その話を聞いた瞬間、あたしは思った。
あの席に座っていて、この学年でも、他学年でもない、たった1人の人物を――あたしは知っていた。