【短編】あの日見た夢は、今。









相手の表情は上手くわからない。けれど、確かに笑ってはいた。
時々、あたしの夢に出てくるのは、まだ幼い男の子。あたしの服の袖を引っ張って、「あそぼー、あそぼー」と言ってくる、元気な男の子だった。

何処かで、見覚えがあった。
その光景も、その状態も。


何処かで、経験しているような――
そんな、不思議な感覚に苛まれる。



「……予知夢なんじゃないの?」

「ほえ?」


朝食に出ていたパンを口に咥えたなり、目の前であたしの話を聞いたお母さんが口を開く。

“予知夢”。
聞いたことのないワードだった。




















< 2 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop