【短編】あの日見た夢は、今。
「……あ………」
「……うっわ暴力ですか。振るう人だったんだ、単なる変態野郎だと思ってたのに」
あたしの言葉に、彼は何も返して来ない。どころか、肩を震わせてその場にうずくまっている。
こないだとは、大違いな態度だ。
「な、何よー。成仏すんの怖くなっちゃった?霊なのに怖がりなの?」
顔を覗き込むようにして、彼に言う。
震える肩。
怯えきった紅い瞳――。
――何なのよ。こないだは“ぺったんこ”とかって平気で言ってた変態だったくせに……