【短編】あの日見た夢は、今。
「はいはい、怖いんだ?ま、何か未練があってこの世に居座ってるわけだから、そりゃあの世へなんて、逝きたくないよねぇ」
この辺で、もう限界だ。
あたしのイライラ度MAXに達したのが、この言葉――。
「別に俺は、何も未練なんてありゃしねーよ」
この言葉を聞いた瞬間、あたしの中で何かが切れた音がした。いわゆる“堪忍袋の緒が切れた”というやつらしい。
「いい加減にしろよ……この変態ドスケベ野郎……!」
そしてそして、とうとう暴走してしまった。
言いたいこと、今まで自分の中に溜め込んだ想いすべてを吐き出す勢いで、彼にぶつけた。
何もかも、全て――。
「未練がない霊なんてみんなもう成仏してんだよ!なんで素直にならないの!?なんで未練タラタラな顔して『未練なんてない』って言えるのさ!?あんたマジ意味分かんない!もう全部言うよ!?いい!?」
「は……お、おう……」