【短編】あの日見た夢は、今。









「――俺は25年前、この高校に入ってすぐ、事故に遭って死んだ。名門校に通えたってことで、親にもすっげー褒められて、『頑張ろう』って思った矢先の出来事だったから、俺自身も何が起こったのかよく分からなくて、気づいたら、轢かれた道路の脇に座ってた。

それで、他人には自分が見えてないってことが分かった。

でも、どうしても高校は卒業したかったんだ。親のために、弟のために――……
だから、生前俺がいた教室の俺が座ってた席に座って、今のこの高校はどうなってんのかなーって、単なる“興味本位”で見てたんだ。





――でもあるとき。
この教室に、アンタがいることが分かったんだ」



「あたし?」


いきなりのことに、驚くしかないあたし。
そんなあたしを他所に、彼は続ける。





















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